第20章 邂逅
穂波side
そろそろいいかな?リコ先輩が部屋を出てから10分以上経ってるし。
私は今、温泉に来ている。リコ先輩がバスケ部の慰労のために企画した温泉旅行に同行させてもらっているのだ。もちろんタダの旅行じゃない。本当の目的はプチ合宿だ。私はまた臨時マネージャーとして参加させてもらっている。今度はちゃんとした温泉旅館だから食事の支度をする必要は無い。だがアシスタントが必要だからとリコ先輩に頼まれてここにいる。部員のみんなはまだこれがプチ合宿だとは知らされていない。あくまで慰労のためにリコ先輩が温泉旅行に誘ってくれたということになっている。テツヤ君と一緒にいられる時間が増えるのはいいけど、ちょっと良心が痛むなあ…。
宿について早速大浴場に…と思ったらリコ先輩に止められた。何か思うところがあるのか、まだ入るなと先輩は言う。どうしたんだろう。
しばらくしてリコ先輩は自分が部屋から出てから10分くらい経ったら大浴場に向かうようにと言って部屋を後にした。何故かはわからないけれど言う通りにした方がいいような気がするので部屋で待つことにした。そして今、大浴場へと向かっている。
途中、のぼせて倒れているテツヤ君に会ったけれど、火神君がついててくれるから温泉に入ってくるように彼に言われた。私がついてると言おうとしたら、火神君も大丈夫だからというのでお言葉に甘えさせてもらうことにした。やっぱり温泉入りたいし、ね。