第19章 集合
どうやら想定外の質問だったようで、彼は目を見開き驚いている。しばらく沈黙が続いた。やはり彼にとっては答えたくないことのようだ。
穂波「ごめんね、変なこと聞いちゃって。答えたくないならそれでいいから」
黒子「…僕はまた君を傷つけてしまったんですね。全部話しますから聞いてください」
穂波「だけどテツヤ君」
黒子「聞いてください」
彼は私の方を見ずに話し始めた。
黒子「桃井さんは中学時代バスケ部のマネージャーだった人です。スカウティング能力に長けていて、みんなから頼りにされている人でした。美人で明るくて、料理は苦手みたいでしたけど、大抵のことはなんでもできる人気者でした。当然モテる人だったのに、何故か僕のことを好きになってくれたんです」
そこまで言うと、彼は一口お茶を飲んだ。また続けて言う。
黒子「だけど僕は彼女のことをバスケ部の仲間としてしか思えなかった。1人の女の子として彼女を見ることができなかったんです。なのに僕は彼女からのアプローチをはっきり断ることをしなかった。多分心のどこかで嬉しかったんだと思います。美人で明るくて優しい桃井さんが僕のことを好きでいてくれたことが」