第19章 集合
また一口お茶を飲むと、今度は私の方を見て言った。
黒子「僕達は別々の高校へ進んで敵同士になりました。彼女もまた進学先のバスケ部のマネージャーになっていたからです」
黒子「君と付き合い始めてすぐ彼女と再会しましたが、まだ僕のことを好きでいてくれたようでした。でもその時にはもう僕には穂波さんという大切な人がいましたから、彼女からアプローチがあってもはっきり断るつもりでいたんです」
一旦そこで言葉を切ると、私を見つめ直す。私も無言で続きを促した。
黒子「桃井さんは君のことを知っていました。情報収集能力に長けた人ですから当然かもしれませんが、僕が一度君からの告白を断ったことまで知っていました。そして僕にこう言ったんです。自分にもまだチャンスはあるから諦めない、と」
確かに一度振られた私がこうしてテツヤ君と付き合っているのだから、彼女にもチャンスは無い訳ではないかもしれない。だけど…正直これ以上聞くのはツラい。
下を向いてしまった私の手を、彼はそっと握ってくれた。
黒子「でも僕にはもう君以外の人は考えられません。僕が好きなのは君だけです。この先どんなに桃井さんからアプローチされても、君への想いは変わらないと約束します。だからそんな顔をしないでください」
多分私は相当不細工な顔をしていたのだろう。恥ずかしくなって隠すように彼の胸へ顔をうずめた。彼はそっと抱きしめてくれた。
穂波「ごめんねテツヤ君、話しづらいこと聞いちゃって」
黒子「いいえ、僕は嬉しかったんですよ?穂波さんがヤキモチ焼いてくれたんですから」
わざとからかうような口調でそう言うと、彼は腕に少しだけ力を込めた。私もしっかりと抱きしめ返す。
穂波「大好き。テツヤ君のこと大好きだよ」
黒子「僕もです。穂波さんのことが大好きです」
私達はどちらからともなくそっと唇を重ねた。