第19章 集合
撤収が終わった帰り道、テツヤ君が送ってくれた。駅を出たところで彼がそっと手をつないできた。
黒子「どうしたんですか?穂波さんなんだか元気がないみたいですけど」
穂波「え⁈あー、今日は忙しかったからちょっと疲れちゃっただけだよ」
当たり障りの無い理由でごまかすように笑っておいた。本当は気になることがあるからなんだけど、嘘はついてない。それにいきなり聞けないよ、桃井さんて誰?なんて。
黒子「もしかして黄瀬君の言っていたことを気にしてますか?」
穂波「‼︎テツヤ君どうしてわかるの⁈」
黒子「穂波さんのことですから。大丈夫ですよ、誰が何と言おうと穂波さんより魅力的な女性はいません。それに黄瀬君も君の魅力に気がついたようですよ」
あ、そっちですか。まあ気にしてなかったと言えば嘘になるけど、結構どうでもよかったんだよね私的には。それより気になっているのは、私の知らない女の子の名前。黄田君?はテツヤ君のこと落とせなかったと言っていたけど、名前の前に「あの」とつけていた。それに私のことを会うまでは美少女と思いこんでいたことから察するに、桃井さんて人は相当な美人なんだろう。テツヤ君のことを好きな美人、か…。
黒子「どうしました穂波さん?大丈夫ですか?」
彼から心配そうな声をかけられる。いきなり黙り込んでしまったのはマズかったようだ。
穂波「なんでもないよ。ただ、私ってばモテモテでどうしようって考えてただけ」
わざとふざけてごまかそうとしたら、思いのほか真剣な声が返ってきた。
黒子「穂波さん、僕に話してくれませんか?それとも僕には言えないことですか?」
聞くなら今だ。でもここでは聞けない。
穂波「聞きたいことがあるの。でも今ここでは無理だから家に来て」
黒子「わかりました」