第9章 就任
それからというもの、私達は大変だった。
同期と違う行動をし、特別に現世派遣したり虚の駆除に行ったり…
同期や先輩であるはずの六回生から遠巻きに見られ、
少し息苦しくも感じたがいつも隣にはギンがいた。
認めたくはないけれど、ギンの隣は馬鹿みたいに居心地が良かった。
でも一番は藍染様の隣が安心するのだけど。
「あー…なんや疲れたなぁ」
「そうね…でも案外早かった」
「せやなぁ…一ヶ月後には卒業やし」
早朝の丘の上に、二人、暖を取るように寄り添って座っていた。
艶やかな群青色の空に、東から昇ってきた朝日が黄色を色付ける。
頬に触れる空気が冷たく、切り裂けるようだった。
白くなった息が、空に昇る。
「ギンは何番隊に入るの?」
「…うーん」
一年で真央霊術院を卒業するだけあり、各隊からの勧誘が絶えない。
私には滅多に勧誘しない一番隊からも、勧誘がきた。
ポリポリと頬をかくギンに、大きく伸びをする主人公の名前からは、勧誘されたという緊張感は全く伺えなかった。
それどころか、余裕だという雰囲気を二人は醸し出していた。
しかし、今この瞬間だけ、ギンは違った。
「あんな、」
「?」
いつもは見せない真面目な顔で、ギンは一呼吸置いた。
その深刻そうな表情に、思わず主人公の名前も息を呑んだ。
「今日の夜、藍染はんに呼ばれてるんや」
「…え?」