第9章 就任
「本日付けで藍染主人公の名前に一番隊第三席への就任を命ずる」
「同等に市丸ギンを五番隊第三席への就任を命ずる」
重々しい空気が漂う中、着任式が行われた。
今回の着任式は、異様中の異様だった。
まず着任するのがたった一年で真央霊術院を卒業した天才児のまだ幼い二人の男女である事。
そしてなにより、隊長の着任式以外では滅多に出席しない護廷十三隊全隊長が出席している事だ。
そんな怪物だらけに囲まれてながらも動じずに凛と胸を張って進行に従う主人公の名前とギンに、周りからの注目も高まった。
「はー…かったるぅ。やぁっと終わったわ」
「平子隊長、しゃんとして下さい。だらしないですよ」
「お前はオカンか惣右介ぇ」
一度だけ会った事のある平子隊長。
その後ろで従順にしている藍染副隊長をチラッと見て踵をかえした。
扉の前で立ち止まっている、総隊長である山本 元柳斎 重國の元へと歩み寄った。
「久しいな主人公の名前よ」
「お久しぶりです総隊長様」
「随分と強くなったようじゃの」
まるで挑発でもしているかのように、霊圧を上げる総隊長様。
舐めてるんだろうか。
流石に総隊長様といえど、少しイラついた。私は、そこまでか弱くない。
「いえ、そんな…買い被り過ぎです」
あえて消極的に返事を返し、それに反して霊圧を上げた。
その私の行動に面食らったのか、総隊長様は目を丸くし、笑った。
「第三席は重要な席である。その席についたのは、まぎれもなく主人公の名前の力だけで与えたもの」
「…私が三席でよかったのでしょうか?皆をまとめる力など私にはとても…」
「かまわん、儂の隊だ。皆自分の考えで行動しておる。まとめなくとも問題ない」
「…そうですか」
ならいいか…
思ったよりも堅苦しい隊なのかもしれない。
いや、逆にその方が好都合。
関わりは最小限にしておきたい。