• テキストサイズ

貴方に愛焦がれ従って BLEACH

第8章 ギンへの信頼【過去編】


オォオオオオオオ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎



刃先が当たる寸前に、女の背後から雄叫びが轟いた。



「⁉︎」

「…虚」


女が即座に後ろを振り向いた時、そこには、2体の中虚がこちらを見ていた。
唸り声を上げ、こちらをジッと見ている。


「…本物か」

「はぁ⁈冗談でしょ⁈⁈」

「...アンタそっち」

「えっまっ、ちょ……!」



女に左の虚に行くよう指差し、主人公の名前は右の虚に勢いよく飛びかかった。


不意に、口元が緩んだ。
刀を強く握り直して、力いっぱいに振り下ろす。

つん裂く音と、その後に聞こえたのは霊子がザッと消え去っていく音。

切り裂く高揚感に包まれて、悦びに浸った。
そんな余韻に浸るのも束の間、背後で蛙が潰れた時に泣くような、醜い声がした。

ふと背後を見ると、虚の鋭い前腕に串刺しになった女がいた。

ギロリとこちらを向いた虚は前腕を私に向かって伸ばしてきた。
そのまま私に刺そうって魂胆だろう。


前腕で女は串刺しにされてもなおまだ息はあるらしく、手足がピクピク動いている。

嗚呼心外。
そんな簡単に私も貴方の餌食になるとでも?

あぁ、心外。



「そんな奴と私を一緒にしないで」



迫り来る鋭い前腕に、刀をもう一度強く握り締め、斬りかかろうとした…その時だった



「去ね」


後方から聞こえたのは、聞き覚えのある声。
地面に、その声の主の影が写っていた。

高く跳躍し、虚の仮面を真っ二つに割いたのは…



「市丸ギン…」

「大丈夫やったー?」

「貴方が来なくても余裕だった」

「あれ、そうなん?」

「私の獲物だったのに…」



強く刀を握るも過ぎ去った事は仕方ない、と浅くため息をついて刀を納めた。


「なんでここにいるの」

「主人公の名前がおるところに僕あり、や」

「気持ちわる…」


精一杯の嫌味でそう突き放したのに彼は高らかに腹まで抱えて笑った。

わからない…一体何がしたいんだ、コイツは。


「僕な、ただ主人公の名前と友達になりたいだけやねん」

「…私じゃなくても、いいだろう」


友達になりたい。

そう正面きって言われるなんて、思ってもなかった。
主人公の名前の瞳孔が揺れるのがわかった。
/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp