第3章 藍染惣右介
「僕は藍染惣右介、五番隊副隊長の死神だ」
「死神…」
死神は知ってる。
お父さんが「偉い人」って言ってた。
「昨日いきなり眠らせちゃったのはね、
君の霊力が高過ぎてあのままだと周りの魂魄に影響を起こしてたからなんだ。
だから一旦眠らせて、ここ…僕の家へと運んだんだ」
キョロキョロと部屋の中を見渡すと、私の家より全然キレイで、高そうな掛け軸が壁に飾られていた。
「一応、中流貴族でね。瀞霊廷に住んでるんだ」
「じゃあ…ここは瀞霊廷?」
「そうだよ」
「…」
次から次へと言われ、主人公の名前の頭の中はショート寸前だった。
これからどうしよう。
そう思うと共に、また涙が溢れる。
「ど、どうしたんだい?」
「おかあさん…っおとぉさ"ん…お兄ちゃん…っっ」
拭いても拭いても、溢れる涙。
脳裏に浮かぶのは、三人の家族。
いきなり失い、その現実を素直に受け止められないのも当たり前だ。
まだ幼いのに、
何よりも大切な家族を失った悲しみは、計り知れない。