第8章 ギンへの信頼【過去編】
「今日は擬似虚を使ったー…」
前で担任が長々と話しているのを、右耳から左耳へと流していた。
「説明長ぁ…」
どうやらそれはギンも同じようだった。
普段何を考えているのかわからない表情が今ばかりはわかりやすく眉間にシワを寄せて嫌そうな顔をしていた。
「そんなんサクッと切れば終わりやん……なぁ主人公の名前?」
「…そうね」
目を合わさずに同意をし、右手でギュッと自分の斬魂刀を握りしめ直した。
高揚感、というのだろうか。
何かを斬る。
何かと戦う。
こういった事が楽しくてしょうがない。
ペアなんて知った事か。
私は私のやりたいように、ただこの高揚感を味わいたい。
それだけで、よかった。