第8章 ギンへの信頼【過去編】
「よかったん?あないな約束して」
「ギン……」
面白い、と印象を持ったあの実習から一ヶ月経った今だが、大してまだギンとは話さない。
いや、ギンは話しかけてくるが私は、
「あぁ」「そう」「いや」
…ぐらいの単語でしか会話してない、気がする。
「主人公の名前とペア組んだらいつも置いてかれるって愚痴られとるで」
「…そう」
「まぁ僕もなんやけどなw」
「…」
こんな感じ。
話しかけられるのが億劫で無言で避けてもいつの間にか隣に来て勝手にベラベラ話していた。
うるさかったが特に害もないし、嫌な気分ではなかったので放っておいた。
ただ、信用ならない。
信用してはいけない男だと頭の片隅でしっかりとインプットしておいた。