第7章 市丸ギンと私
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あれから「いいから来るのじゃ」と強制的に連れてこられた茶屋に入り、
お団子だの甘味をドンドン出され、主人公の名前は戸惑った。
「食え食え、お主、例の藍染家の養子っ子じゃな?」
「あなたは…」
「儂は二番隊隊長の四楓院夜一じゃ」
「隊長…⁈」
纏っていた布をとると、見えたのは褐色の肌にショートヘアの女性の素顔が露わになった。
その顔立ちには、見覚えがあった。
「貴女は…!」
「なんじゃ、知ってるのか」
「当たり前です。真央霊術院でも有名な方ですし」
ガハハと豪快に笑う二番隊長様が、四楓院夜一様が、
少し羨ましかった。
自由奔放な感じで、私にはないモノを持っていたからだ。
「なぜこんな所に…?」
四大貴族の一つ、四楓院家の当主がこんな所にいるなんて可笑しな話である。
「んん?気になるか?」
その質問を待ってたと言わんばかりに身体をこちらに寄せてきた。
彼女の豊満な胸部に、顔が埋れた。
「ふっふっふー、それはな。これを食べるためじゃ!」
身体を離すと、彼女の両手で大事そうに持たれたその器の中には、
美味しそうな黒蜜がかかった餡蜜だった。