第7章 市丸ギンと私
折角のお盆休みだというのに、心休むことはなかった。
あんなカミングアウトをうけて、心休まる方がおかしい。
私達、真央霊術院の生徒はお盆休みだが、護廷十三隊は休みでは無く、惣右介様は戻っていった。
「…外、出ようかな」
朱色の袴では無く、惣右介様が用意していた着物に袖を通した。
帯を締め、下駄を履き軽快に外へと飛び出した。
少し歩くとそこは商店が左右に広がっていた。
お金はお小遣いとして幾らか持っていたけれど、使う気にはなれなかった。
特に欲しいものもなく、必要とするものも無かった。
下を向きながら歩いていると、頭に衝撃が走った。
いきなりの事だったから、思わず尻餅をついてしまった。
どうやら人とぶつかってしまったらしい。
「わっ…」
「すまぬ、大丈夫か?」
手を差し伸べた人は、布で顔を覆っていてよくわからなかったが、声で女性だということはわかった。
しかし、女性らしからぬ口調に疑問を覚えた。
「大丈夫です」
差し伸べられた手を使わずに一人で立って、着物に付いた砂をはたき落した。
「…ん?お主確か、藍染家の…」
「…?」
顔を覗き込んできた女性に、主人公の名前は首を傾げた。