第7章 市丸ギンと私
藍染がポツポツと話し始めたのは、
天に立つために、
王鍵を手に入れるために、
死神を裏切るんだ…と。
そして崩玉を利用して、虚園で大虚の破面を作るということ。
主人公の名前は、なんと言えばいいのかわからなかった。
空いた口が塞がらず、呆然とするしかない状態だった。
まさか、死神を裏切るなんて思いもしなかった。
突飛した才能故の孤独が、彼をこうさせたのだ。
直感的に、
彼をもうなだめる事は出来ない。
狂気に取り込まれ、闇の中の住人だと感じた。
幼心にそれを悟った主人公の名前は
反抗するわけでも無く、抗うわけでも無く、ただ静かに
「私は…惣右介様がどの道を歩もうと、着いていきます」
それだけを告げ、頭を下げた。
「ありがとう」
今まではただの優しい声で、安心出来るものだと感じていた。
しかし今はそれに加え、多少の恐怖感を覚えた。
藍染の瞳には、底光りするなにかが光った。