第5章 修行
自分に向かって走り出した主人公の名前の姿を、
藍染は不敵に微笑み振り抜いてくる刃を斬魄刀で受け止めた。
金属音が重く鳴り響き、地響きが起きる。
「…っ」
藍染は斬撃を受け止めた状態から上に向かって剣を振り上げる。
間一髪で主人公の名前はそれを回避し、後ろへ後退した。
そこの隙をついて藍染は向かって剣を突きつけてきた。
それを回避しつつガラ空きになった腹部に主人公の名前は肘を入れる。
「惣右介様…っ、すみません。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…いや、少し油断してたよ。会わない間に強くなったね」
「っありがとうございます!」
褒められた嬉しさに、私の心は晴れて明るくなる。
人に褒められるというのは…
特に、惣右介様に褒められるのは心躍る。
「今日はもう遅い、帰ろう」
惣右介様が笑顔で差し出された手に驚くも、
おずおずとその手に私の右手を重ねた。
「恋人みたいだな」
「こっ…⁈」
自分でもわかる位に、顔が赤くなっていった。
「おや、嫌だったか?」
「そ…いえ、そんな事は…」
「ふふ、顔が赤いぞ」
「これは夕日のせいです!からかわないで下さい!」
余裕綽々に微笑む惣右介様に、私は何も言えなくなり、苦しい言い訳だけが口から零れ落ちた。