第4章 死神に
「おいコラ藍染んんんん!!」
一番隊舎を出て暫く歩くと、遠方からなにやらドスドスと走り寄る姿が見えた。
「…はぁ」
「なんやねんハゲ!溜息すんなやハゲ!こんな可愛い子連れてなんやロリコンか⁈ハゲ!」
金髪のツインテールで、八重歯とそばかすがある小柄な少女は、開口一番にハゲを連発したのには流石に肝を抜かれた。
「名前は?」
「主人公の名前…です」
「そーかそーか主人公の名前か!」
大口開けて主人公の名前の背中を叩く猿柿に、
藍染は呆れ顔で見ていた。
「ワシは猿柿ひよりや」
「猿柿…さん?」
「なんやカタッ苦しいなぁ」
「あの…そんな事よりあっちで呼んでる人いますけど」
猿柿の後ろの方に、
大声で「ひよりサーン」と呼ぶ胡散臭い男が大振りに手を振っていた。
「あぁええねん、あんなハゲほっとき」
「でも…あの人隊長ですよね?隊長様を待たせては行けませんよ」
「ぐ…」
やれやれと溜息を付くと隊長に向かい直り、これ以上ない速さで走って向かっていった。
と、思ったら見事な蹴りを顔面に入れていた。
「…あれ」
「見てはダメだよ、アレは悪い例だ」
「はあ…」