第4章 死神に
「失礼します!五番隊副隊長様、そして主人公の名前様を総隊長がお呼びでございます」
頭を垂れてハキハキと告げる黒ずくめの男は、それだけいうと直ぐにその姿を消した。
「ほら、お呼びや。行ってきぃ」
「行くよ、主人公の名前」
「…はい」
惣右介様に連れて来られたのは、
大きく一と書かれた建物。
その白い建物の奥にいくと、
そこに居たのは禿頭から額にかけて大きな十文字の傷を持ち、
膝まで垂れる長い髭を結った老爺だった。
老爺とはいえど、その身から滲み出ている霊圧に、幼心に恐怖を抱いた。
「そこの…小童か」
「はい、総隊長」
深々と頭を下げる惣右介様の姿を見て、きっとこの人は偉い人だと直感し、同じく頭を下げた。
「行儀が良いな…おい、小童」
「…主人公の名前です」
「…そうか、なら主人公の名前よ。お主は強い。自分の思っている以上にな。その力を抑制為るためにも、お主は死神になるのだ」
総隊長の見開かれた目を、主人公の名前は真っ直ぐと見つめた。
その眼差しは凛としていて、十分な大人ともいえた。
「総隊長、来年には真央霊術院にこの子を入れます」
「…承知した。おい主人公の名前」
帰ろうと踵を返した瞬間、
後ろから呼び止められた。
「…?」
「いや…また会える事を心待ちにしているぞ」
「はい」
その時見せた主人公の名前の笑顔は、年相応の、幼い笑顔だった。
藍染以外の人と、更に久しぶりに外へ出たことで、くすんでいた心がまた晴れやかになっていた。