【黒子のバスケ】人を外見で決めては絶対いけません!
第12章 しつこいので近寄らないで
「い、いったーーーーーーッ!何するんスか2人共!」
「何するじゃないでしょう。こんな公衆の面前で何をするつもりですか。」
頭を押さえた黄瀬涼太が涙目になり、恨めしそうな目線を私と黒子君に向ける。
「ビンタ食らうならまだしも、腹パンだし、しかも黒子っちはチョップだし、2方向から攻撃食らうとは思わねーじゃん!?」
「当然の報いですね。」
「最近黒子っち、オレへの態度冷たくない!?」
「君にはこれで十分です。早くおかえりください、独りで。」
「ひどいっス〜〜」
「サイテーだな黄瀬。」
「火神っちまで!?」
黒子君、火神君、黄瀬涼太が前で話している一方で、私はまだ思考が上手く回らないでいた。
さっき、すごく近かった。
ドキドキ…したけど、怖いって思う方が強くて。
あの小麦色の瞳に射られた瞬間、蛇に睨まれた蛙と言うのだろうか、身体が竦んで動けなかった。
男性恐怖症というわけではないが、何だか嫌な気を感じた気がする。
1度噛み痕を付けられたら、もう逃げる事は出来ない…みたいな。
よく分からないけど。
「大丈夫ですか。」
私が何か考え事をしてるのに気が付いたのだろう。
黒子君は、いつの間にか私の隣に並んでペースを合わせてくれていた。
もう黄瀬涼太と火神君の背中は随分遠い。
「大丈夫、未遂だったし。」
なんとなく目を合わせる事が出来なくて、通学鞄へ視線を落とした。
こんな事で動揺するとか、ちょっとかっこ悪いよね。
「ここで、待っていてください。」
私が「え」と言うやいなや、黒子君は2人の所まで懸けていき、なにか伝えると此方へ足を進めた。
あっちで黄瀬涼太が何か叫んでいる。そんな彼を引っ張って行く火神君。
何があったんだろうか。
「お待たせしました。行きましょう。」
手をとられる。
黒子君は駅の方に歩いて行っている様だった。
「どこ行くの?」
私が問えば、黒子君はニコリと笑って再び前を向く。
着いてからのお楽しみ、って事かな。
彼が立ち止まるまで、私達は無言のままでいた。