第3章 遭遇
サヤの居場所を見つける。
とは言っても私の出来ることは高が知れていた。
何故なら私は人間。
下手をすれば喰種に殺されかねない。
そうすればサヤは酷く悲しむだろう。
サヤには幸せになって欲しいから、それを見届けるまでは私は死ぬわけにはいかない。
そう思いながらも、
ネットを何度か繋いで調べて見たものの、結局曖昧な情報しか分からなかった。
大学からの帰り道、自分の無力感を痛感しながらも、気分転換に本でも買おうと思い立った為、本屋へ向かう。
サヤも、私の部屋の本を全て読み終え退屈していることだろう、何冊か買っておかなければ。
きっと喜んでくれる。
はやる気持ちを抑えつつ、早歩きで歩いている時だった。
誰かと肩をぶつけてしまい、よろめく。
転ぶ、と思い目をギュッと閉じたが、衝撃は数秒経っても来なかった。
そろりと目を開けると、お腹の辺りには刺青が入った逞しい腕。どうやら私はぶつかった男の人に支えられたらしい。
「すみませ……」
バッと離れ、男の人の顔を見上げた時であった。
ちらりとズレたサングラスから覗く瞳は、黒と赤。
喰種の瞳の色。
「…これ刺青。」
男の人は無表情のまま穏やかな口調でそう言った様に思えたが、私の鼻が喰種と過ごすうちに敏感になってしまったのだろうか。
この人は喰種に違いないと確信した。
男の人の腕を振りほどかれない様ギュッと掴む。
殺されるかも、なんて気にしてられなかった。
だって一筋の光だ。
私は藁にも縋る思いで
「教えてもらいたいことがあります!」
そう言った。
「…………はい?」
男の人は驚いた様子であった。