第14章 その頃
「名前はなんて言うの」
此方をじっと見つめる彼女に問えば、にこりと微笑んで「ヒナミだよ」と返ってきた。
「ヒナミちゃんか、可愛い名前だね。
私は◯◯だよ、よろしくね。」
「うん!」
よかった。
さっきの出来事で敬遠されたらどうしようかと思ったから。私は隣でニコニコ笑うヒナミちゃんに隠れて小さな溜息を吐いた。
「◯◯さんは、お兄ちゃんとおんなじ学校行ってるの?」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、◯◯さんもお兄ちゃんみたいに絵本読むの上手なんだね!」
「うーん、そうだといいなあ」
そう2人で談笑していると、ガチャリと目の前の扉が開く。開いた扉から入ってきたのは───
「おはよう、金木君」