第2章 安住の地を求めて
……またこの夢か。
意識が半分現実に戻る。
この夢を3日に1度の割合で見ている気がする。
その所為か、覚えることは無いはずの夢の内容を私は全て把握してしまった。
私は必ず暗闇にいて、先に私とそっくりの女の子がしゃがんで泣いているのだが、その子は必ずもって血だらけだ。
その血に触れて私はいつも起きる。
予知夢…だろうか。
しかし一体何の。
はぁ、と溜息を吐き顔を机に伏せる。
と何処からか女の子達の噂をする様な声が聞こえてきた。
「ねぇ、知ってる?
サヤって喰種らしいよ〜!」
「あ〜、最近来ないと思ったらそういうことだったんだ」
「喰種が一緒に居たとか…食べられなくて良かったよね…私達って幸運じゃん」
「今どうしてるのかな?
生きてるんだったら早く処分して欲しいよね、怖いし」
“処分”という言葉に自ずと眉が寄る。
周りの人は、喰種は全て駆逐すべき。と言う。
人間と言うものは、自分達が捕食対象になるとこの前まで友達だった筈の人に対してでもこんなにも薄情になれるものなのか。
「…人間って喰種よりも、怖い」
私はそう呟き、講義室を後にした。