第7章 喪失
「夜遅くに申し訳ありません」
2人のうち、1人がそう言った。
言葉は私に向いているが、視線は部屋の奥に注がれている。やはり、サヤ目当てだ。
「何しに来たんですか」
「えっと〜、ここに喰種がいるって報告が来たんですよ〜〜、だからヨース見に来たです」
自然と口調がキツくなってしまう。
しかし、それに対し小柄な少年は笑ったまま。
様子を見に来た、だなんて。
既に強硬手段をやっておいて、どの口が言うんだ。
「◯◯」
いつ起きたのか、サヤは私の背後にいた。
瞬間、ぐっと抱き寄せられる。
「ごめんな」
耳元で、そう囁かれた。