第6章 熟思
きっと後を尾けられていたのだ。
しかし、一体いつから。
以前から周りの人からサヤを怪しむ様な視線や言い草を何度か受けたことがあるし、わざと彼しかいない時に、作った物を持ってきて食べる様強制した人もいた。
しかし、その行為に私も彼も上手く対処してるつもりだったのだ。
ここ3日間程何の問題も起こらなかった為、やっと落ち着きを取り戻せたと思っていた。
だが、実はそれは勘違いで、疾うに私達は通報されていたのか。
誰かが何らかの根拠を獲得し、喰種対策局に連絡を入れていたのだろう。…迂闊であった。
あの3日間、奴らは私達を偵察していたに違いない。
安全な場所も確保出来た。
これから周りに脅かされる事なく過ごすことが出来ると思ったのに……。
明日だったら、せめて明日だったら。
「こんな仕打ち、酷い」
玄関の扉がギィと音を鳴らし開いてゆく中で、私はそう呟いた。