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文芸部×チア部

第9章 謝って!


「おい、ストーカー」

ひと気の少ない廊下で、私は紘夢の背中に言葉を投げかける。

彼はゆっくり振り返って微笑む。

「なんの話?」

「これの話」

私は盗聴器が埋まったマスコットを見せる。

「何? 盗聴器? ナコ、ストーカー被害にあっているの?
大変だ! でも大丈夫だよ。僕が守ってあげるからね…」

彼があわてたフリをする。

「わざとらしい…。あんたが受信器持ってるんでしょ?
盗聴被害って身近な人が犯人らしいよ…」

「なっ… 僕がそんなことするように見える?」

私の言葉に彼は心外なって顔をする。

「見える」

私は即答する。

「……」

彼は黙る。

私は話す。

「わたしは優しいからね…。知ってるでしょ? 紘夢も。
あやまちを認めてちゃんと謝ったら、ちゃあんと許してあげる。
でもそうじゃなかったら…。
紘夢はわたしがいないと生きていけないんでしょ?
どんなことが罰になるのかなぁ…」

「……」

……

受信器は取り上げた。

私はチア部に向かう。

まったく。最近もの分かりいいと思ったら盗聴してたのか。

女同士でアホみたいなトークしてバカ騒ぎしてるの聞いたら安心したんだろうね。

どんな罰を与えようか。

でも最近忙しいから寂しかったのかな?

わたしと鳴海くんどっちが大事なの!

とかヤキモチやくフリしたほうがいいのかな?

いろいろ考えながら歩く。

わたし紘夢に甘すぎかな?

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