第9章 謝って!
はぁ…昨日いっぱい寝たのにまだ眠い。
私は机の上に置いたカバンを枕にする。
今は帰りのホームルーム中。
一ノ瀬先生の優しい声…眠くなるぅ…。
…ピー…ブブッ…
ん? ラジオの雑音みたいな音?
スマホの電源入っちゃってるのかな?
私はカバンの中のスマホを見てみる。
ちゃんと電源切れてる。
どこから…。
私はカバンに耳をあてる。
…!
このクマくんのマスコット…怪しい…。
…
ユキに「少し遅れて部活行く」って伝言を頼んで調査を開始する。
美術室でカッターを借りて、マスコットの縫い目からそっとほどく。
そっーと開く。
…!
この小さな機械…盗聴器だよね…。
紘夢とお揃いのマスコット…。
身近でこんなことしそうな人物…。
ふむ…。
「よう、成宮。美術室になんか用か?」
C組で美術部の廣瀬くんが私に声をかける。
「あ、ううん。別に…」
私は(盗聴器入り)マスコットをポケットに隠す。
そうだ、ちょうどいい。
ここでちょっとおしゃべりしていこう。
「んー…ちょっと見学したくて。わたし最近クリエイティブなことに興味があってね…」
私はにっこり微笑んで言う。
廣瀬くんもにっこり笑って明るく返事する。
「おっ、いいな。俺の絵見るか?」
「うん。見せて!」
廣瀬くんが私に絵を見せてくれて、いろいろ説明してくれる。
画材とか技術の説明だけじゃなくて、絵を描いたときの心情とか空気も説明してくれるから楽しい。
廣瀬くんって本当に絵が好きなんだなぁ。
口実だったけど、ホントに興味出てきたかも。
絵描いてみようかな?
…お、来た来た。