第9章 謝って!
放課後、カラオケルーム。
「ユキ、リカ、マユ。写真撮っていい? 紘夢に送るから」
私はみんなに声をかける。
「オッケー。じゃあ、とりあえず寄りで…。イェーイ…」
4人でぎゅうぎゅうくっついて、スマホで撮る。
画像を添付してっと。
送信「4人でカラオケだよ」
返信「華やかでいいね。 あまり遅くならないようにね。楽しんできて」
ふむ…。
「部屋の全体写真は? 女子しかいないよって証拠写真いるんでしょ?」
ユキが私に尋ねる。
「ううん。別にいいみたい。楽しんできて、だって」
私は答える。
「へー信用されてるじゃん」
マユが言う。
「ていうか、今までが心配しすぎなだけでしょ」
リカが笑う。
「まあ…普通になっただけといえばそうなんだけど。
でも紘夢、最近もの分かりよくなった気がする。
鳴海くんとシナリオ作り始めてからかな?」
私は分析しながら話す。
「鳴海くん…て、バンビーナ?」
「そうそう。あんたもバンビーナって呼ばれてるの?」
「いつも可愛いね、もセットだよ」
「ウケる! やっぱりみんなに言ってるんだね」
「ちょっと変わってるよねー。バンビーナ」
3人がワイワイ話す。
「バ…鳴海くんねぇ、チア部の演技にいつも魅了されて感動してるって言ってたよ」
私がそう言うと、みんなが一瞬しんとする。
「いい人じゃん…」
「私も前から優しい人だと思ってたよ」
「髪、綺麗だよね」
みんな急にほめだす。
「ていうか、文芸部と演劇部でコラボしてんだ」
「へぇいいね。文化部の青春ぽい」
「なんか知的レベル高い感じ!」
なんかバカそうな会話。
「まあそれでそっちに夢中になってるから、わたしのことまで気がまわらなくなってるのかもー」
私は引き続き分析する。
「あれ? ナコ、すねてるの?」
「いつも嫉妬深いとか重いとか言ってても、向こう向かれると追っかけたくなるわけか」
「鳴海くんに盗られないように気をつけなー」
3人が私を茶化す。
別にすねてないもん。