第9章 謝って!
「演劇のシナリオっていいね。紘夢の作るものを一度にたくさんの人に見てもらえるんだもんね。
でもシナリオってどうやって書くんだろ?」
帰り道、私は紘夢に話す。
「うん。小説を書くのとはまた勝手が違ってね…。しばらくは頭を悩ますことになりそうだ。でもいい刺激になるよ。
君はいつも素晴らしい啓示をくれるんだね」
彼が優しく微笑む。素敵。
「それは紘夢に才能があるからだよ。紘夢の言葉は何かを動かす力があるよ!」
私は自分の手をぎゅっと握って、彼の顔を見上げる。
「ありがとう…。ナコにそんなふうに言ってもらえるのが、僕の最高の喜びだよ…」
「やだー、紘夢ったら」
「ふふっ…ナコ…」
……
紘夢はシナリオ制作にすっかり夢中になったようだ。
毎日、演劇部の見学したり、打ち合わせしたり忙しそうにしてる。
「この劇が一段落するまで、しばらくは帰りが遅くなりそうだから、放課後先に帰ってくれないかい?
寂しい思いをさせてしまうけど…ごめんね」
彼がすまなそうに私に言う。
「ううん、気にしないで。ユキたちと帰るから。いいものが出来るように頑張ってね!」
私は明るく答える。
「うん! ありがとう。ナコは本当に優しいね…」
彼が嬉しそうに返事する。
やったー
ユキたちと遊ぶぞー