第9章 謝って!
コンコンコン
「こんにちはー」
演劇部の部室のドアを開ける。
鳴海くんと紘夢が机を挟んで話してる。
紘夢が友達といるなんてめずらしい。
「やあ、バンビーナ。逢坂くんを借りているよ」
鳴海くんが笑顔で私に声をかける。
「演劇部のシナリオの手伝いをすることにしたんだ」
紘夢が少し恥ずかしそうに私に言う。
「へぇ…いいね!」
私は返事する。
「以前から頼んでいたんだけどね。なかなか腰を上げてくれなくて。でもバンビーナが勧めてくれたんだって?」
鳴海くんが言う。
?
私は紘夢の顔を見る。
「君が僕の書いたものをみんなに読んでもらったほうがいいと言ってくれたからね。思い切って鳴海の話にのってみることにしたんだ」
紘夢が私に説明する。
「そっかぁ。楽しみだね!
いいなぁ…こう…みんなで何かを作り上げていく感じ…。
そしてそれをみんなに見てもらうんだね。
なんだかうらやましい! ワクワクしちゃう!」
私はちょっと興奮する。
「それはチアリーディングも一緒じゃないかい。
僕はいつも君たちチアリーディング部の作り出す演技に魅了され感動しているよ」
鳴海くんがそう言って微笑む。
「チアのこと、そんなふうに言ってくれるなんて…! さすが鳴海くんだね…」
私は感動して、鳴海くんを見つめる。
鳴海くんはちょっと照れ笑いする。
「いや、いつも思っていることをそのまま言っただけだよ…。
ん? 逢坂くん。今、舌打ちしなかったかい?」
「気のせいだよ」
紘夢がにっこり微笑む。