第8章 君と僕との物語(R18)
「ど…どうかな…?」
うつむいて原稿用紙を見つめる私に、彼が問いかける。
「…すごいよ、逢坂くん」
顔を上げた私の目から涙がこぼれる。
彼のつむいだ言葉に感動して。
そういえば私、彼の書いたラブレターも大好きだもん。
彼の創り出す言葉が大好きなの。
どうしてもっと早く思いつかなかったんだろう。
逢坂くんのこと知りたいなら、真っ先に読ませてもらうべきだった…。
「ねぇ逢坂くん! 新人賞とかには応募してるの? 逢坂くんには才能があるよ! いろんな人に作品を見てもらったほうがいいんじゃない?」
私は興奮気味に尋ねる。
「うん。コンクールに応募する作品は別にきちんと書いているよ。
テーマとか長さとか賞によっていろいろあるからね」
私の質問に答えながら、彼は少し恥ずかしそうに顔を伏せる。
「きょ、今日読んでもらったものは…君と僕との物語というか…君をイメージして、君のためだけに書いたものなんだ…。
少し恥ずかしくて今まで見せられなかったんだけど…気に入ってもらえたみたいでよかった…」
彼が少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに顔を赤くして言う。
「こんな素敵なものを、わたしのために…。わたしだけのために…。わたし、なんて幸せなんだろう…ぐすん」
私の目から、さらに涙があふれ出す。
「ほっ他にもあるんだ! 読んでもらえる?」
彼も少し興奮気味に机の引き出しから原稿用紙を取り出す。
「うん! ぜひ読ませて!」
私は顔を上げて笑顔で答える。