第8章 君と僕との物語(R18)
「もう! 鳴海くんは親切でわたしに話しかけてくれただけなのに…」
「だって鳴海があんなデレデレした顔でナコに迫っているから…」
「ニコニコしてたんでしょ…!
もぉ〜E組の人にめっちゃ見られてた気がする…。恥ずかしい…」
逢坂くんと帰り道を歩きながら、さっきの件の文句を言う。
「恥ずかしい…?
ナコ…もしかして…いや、やっぱりと言うべきか…。
僕なんかと交際しているのが恥ずかしい…?」
彼がうつむいて言う。
「は? そんなことないって…。なんでそんなふうに思うの?」
私はちょっと呆れて彼を見る。
「もともと…学園のアイドルのような君と、僕のような何の取り柄もない男では釣り合わないのはわかっていたんだ。
だからずっと影で見守っていたんだけど、耐えられなくなって声をかけてしまった…。
僕は望みすぎたんだ…」
「バカ!」
自分の世界に入ってる逢坂くんの背中に、私は怒りの言葉を投げつける。
彼が振り向く。
「わたしが逢坂くんのこと、どれだけ好きか知っているくせに…。
忘れちゃったのなら思い出させてあげる。
逢坂くん家、今日もお家の人いないんでしょ?
さあ、行こ。早く帰ろう…」
私は彼の腕につかまってグイグイ引っ張る。
「あっ、待って…。行くから…。待って…」
彼が戸惑いながら引っ張られる。
私、性格変わったかな?