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文芸部×チア部

第1章 チア女子


彼がE組にいるとわかっても、他のクラスをのぞきに行くような勇気は私にはない。

誰かに相談して一緒に…。

でも朝、リカとマユに「暗そうな男」って言われちゃったもんな。

ユキもそう思うかな。

私には真面目そうな人に見えるんだけど…。

それに…一見地味だけど、よく見ると少し…いや、かなりかっこよかったような?

背も高かったし。

あの手紙を持つ彼の手、彼の指。

とても綺麗だった…。



昼休み、ユキとリカとマユとお弁当を食べる。

「ねぇ、ナコ。桃越先輩と進展した?」

ユキに聞かれる。

「進展? そんなのないよ?」

私は答える。

「えーなんで? メアド交換したんでしょ?」

「うん。メールはたまにくるよ」

「ちゃんと返事してる? デートに誘われたりしたんじゃないの?」

「うん。クラブ行こうって誘われたけど、そういうの苦手だから断った」

「え〜」

私の返答に3人が不満の声を漏らす。

「ナコ、あんたさぁ、もしかして苦手だから行きませんってだけ書いて返事したんじゃない?」

「ちゃんとごめんなさいも書いたよ」

私は自信を持って言う。

「そうじゃなくてさー。だから映画とかどうですか?とか言わないとダメだよ」

ユキがあきれて言う。

「え? あ、そうなの?
あ、でもわたし、桃越先輩とデートとか…いいよ。
ああいう派手な人は、わたしとは合わないと思う…」

「え〜」

私の返答にまた3人が不満の声を漏らす。

「確かにナコは性格はおとなしいけど、見た目は桃越先輩にバッチリ釣り合うよ!」

「性格だって合わないことないと思うなぁ。先輩ってナコみたいに控えめな子が案外好きっぽいし」

「そうだよ。ナコには引っ張っていってくれる人がいいよ。私たちみたいにね」

3人が好きなこと言う。

今までならそんなものかな…と思ったかもしれないけど…。

私の心の奥には今、ある人の顔が浮かんでる…。
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