第8章 君と僕との物語(R18)
部活が終わった後、ユキたちと部室を出る。
中庭のベンチで逢坂くんが本を読んで待ってる。
「あ、ナコ。ほら、彼氏待ってるよ。クスクス」
「クスクス。ラブラブでいいね。クスクス…」
「あ…うん。じゃあまた明日ね…」
私はユキたちに手を振って、逢坂くんとこに行く。
「お疲れ。なんだか、ナコの友達が半笑いで僕を見ていたような…?」
逢坂くんが首を傾げる。
「気のせいだよ。ふふっ…」
私は笑ってごまかす。
サッカー部の応援に行かせたくなくて、二日酔いにさせようと、ジュースにお酒を混ぜて飲まされたとか…言ってないよ!
「逢坂くん…。わたしが男バスの子たちとカラオケ行くって言ったらどう思う?」
私は帰り道を歩きながら聞いてみる。
「え…。男バス…。行くの?」
彼が悲しそうな瞳で私を見つめる。
「ううん。断ったけどね。
マユの彼氏はマユ信用してるから、そんなことで文句言わないんだって。
逢坂くんはどうかなーと思って」
私がそう言うと、彼はぼんやりした瞳で地面を見つめる。
「僕も…僕だってナコのことを信用しているよ。
カラオケぐらい…みんなで行くんだし…カラオケぐらい…うぅ、ぐすっ…」
「泣くぐらいイヤなら無理しなくていいよ…。どうせ行くつもりないし…ねっ?」
私は彼の肩をポンポンと叩く。
きっといろんな愛の形があるし、逢坂くんはこういう人だから…。