第4章 夢をみた
「ナコ、彼氏とうまくいってる?」
部活の着替えのとき、リカに聞かれる。
「うーん…」
私はちょっと返答につまる。
「ナコ、男に慣れてないんだからなんかあったらすぐ相談するんだよ」
マユが私の肩をポンポンして言う。
うれしいぃ。心の友達ぃ。
「デートとかどこ行くの?」
リカが尋ねる。
「あ、今度プラネタリウムに行こうかって…」
「プラネタリウム? 社会見学?」
私の答えにマユが首を傾げる。
「まあでもナコ、そういうの好きそうだもんね。星占い的な?」
「そっかー。ラブラブなんだぁ」
リカとマユが納得してニコニコする。
ラブラブ…なのかな? うーん…。
そう言われてみると、今現在そんなに困ってない?
「ちょっとナコ! 隠しなよ、こんなの…」
ユキが、着替え中でパンツだけの私の下半身を、スポーツタオルで隠す。
ん? いつもみんなこんな感じで着替えてるのに?
「お尻と太ももの境い目にキスマーク付いてるよ」
ユキがコソコソ耳打ちする。
えっ
私は手鏡でお尻を見てみる。
赤い小さいアザみたいなの…。
これってキスマークなの? いつのまに…。
「まだ付き合って1ヶ月ぐらいなのに! 真面目そうに見えてあの男…」
ユキがちょっと怒った口調で言う。
「虫刺されだよ」
私は答える。
「えっ」
「なんかかゆいなぁと思ってたら赤くなってたんだね。教えてくれてありがとう」
私は平静を装って答える。
「本当にぃ?」
ユキが疑いの眼差しで私を見つめる。
逢坂くんの部屋で寝てたときかな…。はぁ。