第4章 夢をみた
文芸部の部室に向かう。
今日は逢坂くんも部活ある日だから部室で待ってくれてる。
部活がない日は図書館で待ってる。
別に待ってなくていいよって言うんだけど、待ってるほうが落ち着くんだって。
もしかして私のこと見張ってたいから?
キスマークのことも文句言わなきゃ…。
文芸部の部室をノックして入る。
「失礼します…あ、逢坂くんだけ?」
部室には逢坂くんが1人。
「うん、みんなもう帰ったよ」
「そっか。待たせてごめんね。帰ろうか」
「ううん。好きで待ってるだけだから。そんなことより…」
ぎゅ
逢坂くんが私をぎゅっと抱きよせる。
「……」
あったかい…。
「ナコちゃん」
彼の声で顔を上げる。
背が高いからちょっと見上げる。
彼が優しく微笑む。
そして、私の唇にそっとキスする。
夕陽の射し込む部室。
2人だけの放課後。
……。
彼は唇を離すと、少し照れくさそうに笑った。
「帰ろうか」
「うん」
部室のカギを閉めて、廊下を2人で歩く。
手を繋ぎたくなっちゃった。
でも、学校だから…。
学校出たら手を繋いでみようかな…私から。
って考えながら、私は彼のちょっと後ろを歩いた。
……
家に帰って気づいた。
文句言うの忘れた…。