• テキストサイズ

文芸部×チア部

第4章 夢をみた


逢坂くんが家まで送ってくれる。

私は頭の中の整理が出来てなくて、あまりしゃべれない。

彼もあまり話はしないけど、機嫌よさそうにニコニコしてる。

手を繋いで家までの道を歩く。

この手で、私の身体のいろんなとこ…さわられちゃったんだ…。

私は顔が熱くなるのを感じる。

「ナコちゃん。顔が赤いよ。どうして?」

彼が私の顔をちょっとのぞいて言う。

「えっと…あの…えっと…」

答えられない私の様子を見て、彼の顔も少し赤くなる。

「ふふ…。意地悪な質問しちゃったかな? ごめんね」

そう言って彼はまたニコニコする。

私の家が見える。

家の前で母が花に水をあげてる。

私は思わず彼の手を離す。

「あぁ、お母さん?」

「うん…」

母が私たちに気づく。

「あらっ?」

「こんばんは」

彼がさわやかな笑顔で母に挨拶する。

「あらあら。ナコ、おめかしして出掛けたと思ったら、ボーイフレンドとデートだったの?」

母がなんだか嬉しそうに話す。

余計なこと言わないでいいのに…。

「藤城学園の逢坂紘夢といいます」

「まあ、同じ学校なのね。今日は娘をわざわざ送って来てくれたの? ありがとうね。よかったら晩ごはん食べていって?」

「ありがとうございます。でも、今日は失礼します。また改めてご挨拶に…」

「うん! うん、そうだよねっ。逢坂くんありがとう、送ってくれて。また明日、学校でね!」

私は母と逢坂くんの会話に割って入る。

お母さん、なんか逢坂くんのこと気に入ってる…?

「あら、残念。今度、家にゆっくり遊びに来てね」

「はい。では、失礼します」

逢坂くんは母に礼して、私には軽く手を振って帰っていった。

……。

「真面目そうないい子ねぇ」

母が感心する。

「うん…」

「優しそうだし…」

「優しいよ…」

「背も高くてイケメンねぇ」

「…だね」

ユキたちはダサイとか暗いとか言うけど、かっこいいよねぇ。

親子だから好きなタイプが似てるだけかな?

でも…

「はぁあ…」

大きくため息をついた私を見て母が笑う。

「どうしたの? 彼氏と別れて寂しいの? 明日また会えるんでしょ?」

「うん…」

もう…何がなんだか。

ちょっと自分の部屋で考えよう…。
/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp