第13章 みつけて(R18)
日曜。
今日は私の両親が出かけてて、夜遅くに帰ってくる予定なので、私の部屋でデート。
紘夢に何か特別なことをしてあげたくて、私は手作りクッキーを焼いてみた…ちょっと焦げた。
でもせっかくなので食べてもらう。
「わぁ、ナコが焼いたクッキーを食べられるなんて…感激」
彼が嬉しそうな顔をする。
「わたし一人で初めて作ったの。食べてみて!」
「うん!」
お皿から一枚、クッキーを取り、彼は口に入れる。
「どう?」
「…うん、うーん。香ばしいね。美味しい」
「うふ。よかった」
私も一枚食べてみる。
ガリッ
かたっ…!
焼きすぎると固くなるのか…。
「あ、あの紘夢、焼き加減ちょっと失敗したみたい。無理して食べないでいいよ…」
「ううん。味は美味しいよ、本当に。それに…僕のために作ってくれたんだよね。すごく嬉しいんだ」
彼が優しく微笑む。
紘夢のこういうとこ大好き。嬉しいな。
…
「ねぇ、ナコ。子供の頃の写真とかある?」
彼が私に尋ねる。
「あるよ。アルバム見る?」
私がそう言うと、彼は嬉しそうに頷く。
…
「んー…これは幼稚園の遠足かな。えっと、わたしは…」
「この子だね? すごく可愛いからすぐわかった」
彼が私より先に、写真の中の幼稚園児の私をみつけて指差す。
「そうそう、これこれ。懐かしいなぁ」
アルバムのページをめくり、あれこれ写真を見る。
最初はテンション高くはしゃいでいた紘夢だけど、次第にトーンダウンしてきた。