第13章 みつけて(R18)
紘夢は結局A組の教室の前まで、手を離してくれなかった。
何回かタイミングをはかって手を離そうとしたんだけど、ぎゅっと握られてて…。
私と紘夢が一緒に登校してくるのはいつものことだから、周りもそんなに気にしてないと思うけど、さすがに今日はチラ見されてたような。
「名残惜しいけど…またね…」
紘夢が悲痛な表情で言う。
「や、やだ。そんなおおげさな。また放課後ね。会いたくなったら休み時間に来てよ。あ、わたし行っちゃうかも。ふふ…」
私はなんとなくヘラヘラする。
「自分がE組なのを、こんなに憎んだのは久しぶりだよ。じゃあ…」
紘夢はE組に向かって廊下を歩いていった。背中が寂しそう。
ふう、やれやれ。
私は教室に入る。
…!
クラスの半分くらいの人がこっちを見てて、いっせいに目をそらした。
「おはよ…」
私はなんとなく教室全体に向かって言ってから、自分の席に座る。
……
はぁ…朝はちょっと恥ずかしかったな。
授業中、私は机に頬杖をつき、朝の出来事を思い出す。
それにしても、紘夢。
ちょっとは無駄なヤキモチやかなくなったと思ったけど、やっぱり斗真のことは特別気になるのかな。
斗真なんて、本当ただの幼なじみなのに。
そりゃ、子供の頃は一緒に登下校したし、よく遊んだけど…
紘夢が嫉妬するような気持ちを抱いたことないのにな。
斗真には。