第13章 みつけて(R18)
「おまえ、なんでこんなとこに突っ立ってんだよ。眠そうな顔して」
「別に眠くないよ。物思いにふけってただけ。待ち合わせしてんの。彼氏と! …ていうか、そろそろ来そう。斗真、先に行ってて。学校」
紘夢に見られたらややこしい。
私は斗真に先に行くようにうながす。
「なんだよ。邪魔もの扱いかよ。冷たいよなー。小学生んときは一緒に学校行こーっておまえから誘ってきたのに」
「それは斗真が放っておくと遅刻ギリギリだったから…て、さっさと行ってよ、もう。離れて…」
私は斗真の背中をグイグイ手で押す。
「ごめんごめん、遅くなってしまって……ひゃあ!」
走りながら、曲がり角を曲がってきた紘夢が、私たちを見て変な叫び声をあげた。
……見られた!
紘夢はちょっと口を半開きでぼうぜんとしている。
な、何か話さないと…えっと…
「やあ、おはよう。如月」
紘夢がニッコリと微笑む。さわやかに。
斗真も答える。
「おう。そういえば逢坂、俺、ナコん家のおばさんに、
逢坂くんて真面目そうだけどどんな子かしら? って聞かれたから、
いいヤツだよ、って答えておいてやったぞ」
「それはどうも。気をつかわせて悪かったね。
まあ僕も近々、ナコの家には改めて挨拶に行かないと…と思ってはいたけどね」
「じゃあ、俺、先行くわ。遅刻すんなよ、ナコ」
そう言って、斗真は私たちに手を振り、去って行った。
私はにこやかに斗真の後ろ姿を見送る紘夢をそっと見上げる。
…オトナになったんだね、紘夢。
私は間違いなく紘夢のものだよ。
ぎゅっ
紘夢が突然、私の手を握る。
「行こうか」
「えっ。手を繋いで…? 朝から?」
「嫌なの?」
紘夢が私の顔を見て問いかける。
にこにこしてるけど、なんか怖…。
「イヤ…じゃないです…」
紘夢は引き続きにこにこしながら、私の手をぎゅうーと握る。