第12章 僕のミス藤城
昼休み、お弁当を食べ終わって、部室でユキたちと作戦会議をする。
「紘夢を部室に閉じ込める件だけど、ドアに貼るのはイワシよりも金目鯛が効果的だと思う」
私はみんなに紘夢の弱点をバラす。
「なるほど。逢坂くんの件はとりあえずそれで。
選挙を勝つために、まず根回ししなきゃね。運動部の子たちは多少なりとも私たちに恩があるはず。その辺から責めるのと…
ナコ、一年生の女子に人気あるよね? ファンレターをくれる子たちで名前のわかっている子にさりげなく接触して協力を…」
ユキが作戦を説明する。
コンコンコン …
部室のドアをノックする音。
「あ、他の2年も呼んであるの。どうぞー」
ユキがノックに返事する。
ドアが開く。
「キャプテン!」
ユキが驚いて立ち上がる。
チア部の前キャプテンが入り口でにっこり笑ってる。
私たちも立ち上がり、挨拶する。
「あら、ヤダ。キャプテンはあんたでしょ? ユキ、しっかりやってる?」
前キャプテン、アヤ先輩は優しく微笑む。
「はいっ、アヤ先輩っ。おかげさまで何とかやってますっ」
ユキは直立不動で答える。
実はアヤ先輩はニコニコしているときこそ、一番注意しないといけない。
私たちも緊張する。
「あのね、あんた達がナコをミス藤城にエントリーしようと画策してるって噂を聞いてね…本当?」
アヤ先輩が、ツンととがったアゴに細く長い人差し指を添えて、可愛らしく小首を傾げる。
「あ、はい。そうなんです。もしかして先輩…協力してくれるんですか? うわぁ〜先輩が協力してくれるなんて百人力ですぅ…」
嬉しそうに声を弾ませるユキを、先輩が手で制す。
そして言う。
「違うの。辞退して欲しいの」
えっ