第12章 僕のミス藤城
「逢坂くんてホント分からず屋! ナコ、よくあんな人と付き合ってるね」
ユキが部室で腹立たしそうにつぶやく。
そうだね。よくあんな人と付き合ってるね、わたし。
「紘夢は折れないと思うよ…。思いつめたら何をするかわからないし。今頃ミスコンイベント自体を潰す計画を立てているかも…」
私は着替えながら答える。
「とりあえず、逢坂くん、当日はチア部の部室に閉じ込めよう。ナコの手作り弁当があるよ、とかいえばホイホイついて来るでしょ」
「ドア壊されたら嫌だな。イワシの頭でも貼っておく?」
ユキがリカとマユと計画を立てる。
なんか悪霊扱い?
私はちょっと考える。
私は人前に立つこと自体は苦手だけど、チア部のためなら頑張れると思う。
でも、紘夢があんなに嫌がってることをやってもいいのかな…。
「ナコ! あんたも協力するんだよ」
ユキが私の両肩をガシッとつかむ。
「うん」
私は条件反射で頷く。
うぅ…わたし、紘夢とユキの板ばさみ…。神経けずられるぅ…。