第2章 はじまりと決意
しばらくの沈黙。
俯いていた私は少し頭を上げると、二人とも驚いていた・・・・・訳ではなかった。
「くくっ・・・あはははは!!そんなのありえない!ポケモンいない世界なんてありえない!あはは!!おかしい~」
「こらクダリ!すみません。この愚弟が・・・。ですが、どうも信じ難いお話で御座いますね。」
「事実ですっ!!ポケモンは想像上のものでした!」
必死になって二人に説明してる私がバカみたいになってきた。これなら、もう「ごめんなさい。たちの悪い冗談です。」って言って済ませようか。
そう思って口を開こうとした時、
「あはは!ごめんね?冗談、冗談!そんな嘘付く人いないもん。」
「ですよね。こんな話信じてもらえる方がすご・・・え?冗談?」
「うん。」
・・・信じてくれるというのか。
そう思っていた私にノボリさんは続ける。
「これも何かの縁。この事件の責任は私共にもあります。行く所が御座いませんのでしたら、こちらで用意しますので。」
・・・え?用意、ですと?!
さすがにそれは悪いと、話そうとするがその度に「いえ、これくらいの事。」と言うように上手くかわされてしまった。
このままでは世間に『旅にも出ず働きもしないニート』と言われてしまう。何か無いか。何か・・・。
ん?旅?そうだ!これなら。
「・・・旅。」
「「旅(ですか)?」」
「はい。旅に出ようと思います。なので、最初の必要最低限の物だけお借りできませんか?もちろん、お金は返します。ポケモントレーナーになってバトルに勝てば、お金は手に入る事ですし。」
私の答え。
旅に出てバトルの腕を磨く。
これが今の私に必要な事。・・・だと思う。
「旅?いいね!!じゃあ、ポケモンも連れてかなきゃね!」
そう言ってクダリさんはガサゴソとコートのポケットをあさり始めた。
一方ノボリさんは何処かに電話をかけているようだった。
「あった!・・・はい!この子この前生まれた子でさ、沙織にあげるよ。きっと強くなると思う!」