第5章 青い月。
「ねぇ、美風さん。」
私が呼ぶと、美風さんは無表情でこちらを見た。
「美風さんはこの映画のストーリーどう思ってたの?」
私がそう尋ねると、
美風さんは「うーん。そうだね。」と言うと、
早口でここの設定はこういう理由でありえない!とか
何故ロボットは手足を一緒に出して歩くと思われてるのか!とか、
ものすごく熱弁してくれた。
「でも、ラストシーンは好き。」
そう言っていた。
「私も、ラストシーン好きです。」
「うん。女の子は好きだよね。こういうの。」
美風さんは雑誌に目を通しながらそう言った。
「美風さんは?」
「ん?」
「もし、データ消されちゃっても…私の事覚えてる?」
「…さぁね。」
美風さんは意地悪に笑った。
「えー!ひどーい!」
私がそういうと、
美風藍は私を抱きしめた。
「うそ。絶対に忘れないよ。」
「…うん。」