第1章 999回目の失敗。
それから物事はあっという間に進んで行った。
届いた台本に目を通す。
物語は恋愛ものだった。
私の役は人工知能(AI)を持ったロボットの少女。
ロボットという事で最初は感情はない。
が、そこで出会った少年と関わっていくうちに
じょじょに感情を手にし、彼と恋に落ちる。
ロボット…。
また難しい役柄だ…。
でも、物語は切なくも甘いストーリーで
なんだか思わず入り込んでしまった。
これは最後のチャンスかもしれない。
私はそう思いながら気合を入れた。
そうして、
映画の顔合わせに向かう事になった。
その前日は
緊張からあまり寝ることが出来なかった。
そういえば、
相手役は誰なんだろう。
そんな事を考えながら
顔合わせの会場である小さなスタジオの
会議室へと足を運んだ。
マネージャーはぺこぺこと
関係者達にお辞儀して回る。
人、多いな。
そんな事を考えていると、
マネージャーに促され、
私は椅子に座る。
そして、台本をじっと見つめる。
不意にドアが開く。
私はそちらに目を向けた。