第1章 999回目の失敗。
「柚子ちゃーん。ごめんね。この間の映画ダメだったみたい…。」
マネージャーが申し訳なさそうに
私に頭を下げる。
「…そうですか。」
わかりきっていた。
「でもさっ!映画がDVD化された時のメイキング映像でオーディションの様子流れるから!柚子ちゃんも出るよ!」
マネージャーは嬉しそうに笑っていた。
「…。」
くだらない。
そんな映像に出るために
アイドルになったんじゃないのに…。
もうアイドルなんて辞めてしまおう…。
私はマネージャーに伝える事にした。
「あの、マネージャー!私…」
"ピリリリ"
マネージャーの携帯が鳴り響く。
「あ、ごめん!柚子ちゃん。待って!」
マネージャーは電話に出ると、
何やらすごく喜んでいる様子だった。
私はじっとその様子を眺めていた。
…タイミング逃しちゃったなぁ…。
電話が終わると、
マネージャーは嬉しそうにこちらへ走ってきた。
どうせ、また深夜バラエティーの仕事入ったとかだろうな。
「柚子ちゃん!映画の主演!決まったよ!!!!」
「…そうですか。」
あぁ。なんだ映画の主演か…。
ん?
映画の主演…!?
「はぁ!!??」
思わず身を乗り出す。
「あまり有名な監督さんじゃないけど、この間のオーディション見て柚子ちゃんの事気に入ったらしくてぇ!当然受けるよね!僕、もうOK出しちゃったから!」
頭が真っ白になった。
1000回目もダメで…
1001回目にやっと…
チャンスが…?