第3章 不調。
スタジオに到着すると、
美風藍はデモ音源はかけてくれた。
まだ歌詞がないので、
「ラララ」で歌った。
美風さんは色々とアドバイスをしてくれた。
一緒に歌ってくれたりもした。
それがすごく嬉しくて、
楽しくて…
気がつけば、
午前0時を過ぎていた。
「あ、もうこんな時間ですね。」
私がそういうと、
美風さんははっとしたような顔をした。
「ごめん、僕とした事が、時間を忘れてた…」
そう言って大きく溜息をついた。
「すいません。遅くまでありがとうございました。」
私がそう言って頭を下げた。
あまりにも反応がないので、
顔を上げると、
美風さんはなんとも言えない複雑な表情をしていた。
「美風さん…?」
私が名前を呼ぶと、
美風さんははっとした。
「…ごめん。なんかおかしいんだ…。」
そうして美風さんはうつむいた。
「…?」
私はそんな美風さんをじっと見つめた。