第3章 不調。
遠くから眺める美風藍は
やっぱりキレイで…
思わず見とれてしまった。
「あの…真城さん。」
名前を呼ばれてはっと我に返る。
「はい!」
私が振り返ると、
シャイニング事務所の作曲家の七海さんが立っていた。
「すいません。お忙しい所…あの、真城さんの歌われる劇中歌の作曲が出来たので…よかったら見ていただけませんか?」
そう言って七海さんは私に譜面を渡した。
「はい。」
私は譜面を受け取り、
譜面に目を通した。
「その…まだ改善すべき点は多いかと思いますが…何かアドバイスとかあったら…お願いします!」
そう言って七海さんは頭を下げた。
七海さんの渡してくれた譜面はすごかった。
とても繊細で、キレイで…
それなのに芯がある曲だった。
「…すごいです。」
「へ!?」
七海さんはばっと顔を上げる。
「すごくキレイな曲です!すごい!すごいです!」
そう言って私は七海さんの手を掴んだ。
今まで私は
王道アイドルソングしか歌わせてもらえなかった。
でも、今回はバラード…。
それが嬉しくて、
しかもこんなにキラキラとしたキレイな歌を歌えるのが
更に嬉しかった。
七海さんも安心したように
胸をなでおろしていた。