第3章 不調。
そんな私の顔を見て、
四ノ宮さんはニコニコと笑っていた。
"コンコン"
再びドアが叩かれる。
スタッフの方が入ってくる。
「美風さーん。単独のシーン撮影したいので現場の方にお願いします。」
「わかりました。」
そう言って美風さんは立ち上がった。
そして、ドアの前に立ち、こちらを振り返った。
「僕は行くけど、二人とも柚子に変な事しないでよ。」
そう言って美風さんは出て行った。
緊張の糸が切れたように
私と来栖さんは机に突っ伏した。
四ノ宮さんだけはニコニコと笑っていた。
「すごい!すごいです!藍ちゃんが恋をしましたよ!翔ちゃん!」
四ノ宮さんは来栖さんの背中をバンバンと叩く。
「いてぇよ!那月!!…でもすげぇ進歩だなぁ…。」
来栖さんも少し嬉しそうだった。
「…?」
私は二人の会話についていけず、
ただただじっと二人を見つめて居た。
「あのさ、もし、一緒に居る時藍に何かが起きたら…俺達に連絡してくれないか?」
来栖さんは困ったような顔をして
そう言った。
「何か…ですか?」
私がそう言って首をかしげると、
来栖さんと四ノ宮さんは目を見合わせていた。