第3章 不調。
そして、美風さんは私から手を離すと、
そのまま来栖さんの手を握った。
「はい。これで間接握手。満足でしょ?」
そう言って美風さんは再び椅子に座った。
「…あ…あぁ。」
来栖さんは困惑しながらも、
納得したようだった。
「それ、手作りのお弁当ですかー?」
四ノ宮さんが私のお弁当箱を見つめる。
「あ、はい!キャラ弁なんです!」
私は自慢気に弁当箱のフタをあける。
すると、3人がお弁当箱を覗き込む。
「うわぁ!すげぇ!」
「…へぇ。ピヨちゃん?」
来栖さんと美風さんは
感心した様子だった。
四ノ宮さんだけは
何やら固まっていた。
「…かわいい…。」
何やら凄く小さい声でボソっと呟いた。
「へ?」
「可愛い可愛い可愛いかわいいー!!!!!!!!」
四ノ宮さんが叫ぶ。
「すごい!可愛いです!!!!僕も食べたいです!!!」
四ノ宮さんは目を輝かせてそう言った。
「あ…ありがとうございます。食べてみますか?」
私はフォークでぴよちゃん型の卵焼きを
取ると、四ノ宮さんに差し出した。
「わぁ!いいんですか!わーい♪」
四ノ宮さんは口を開ける。
が、その顔は押しのけられた。
"パクッ"
「…うん。一般的に美味しいって言われる味だと思うよ。」
何故か美風さんが玉子焼きを食べていた。
「…うぅ!藍ちゃん!ひどいですー!僕が食べたかったのにぃー!」
四ノ宮さんは不満そうにしていた。
「…味の感想は伝えた。食べる必要ないでしょ?」
美風さんがそういうと、
四ノ宮さんは不思議そうな顔をした。
「藍ちゃん…もしかしてヤキモチ焼いてるんですか?」
四ノ宮さんのその一言で
室内はシーンと静まり返った。