第3章 不調。
シーンと静まりかえっていると、
再びドアを叩く音が聞こえ、
ドアが開く。
「お!居た居た!」
「藍ちゃーん!会いに来ましたよぉー♪」
そこに現れたのは
シャイニング事務所のST☆RISHのメンバーの
来栖翔と四ノ宮那月だった。
「翔!那月!何しに来たの?」
美風さんは驚いたように二人を見た。
「撮影会場近かったからさ、見学でもするかーって事で来た!」
来栖さんはニコっと笑った。
「藍ちゃん。すごぉーく頑張ってましたね!」
四ノ宮さんはそういうと美風さんを抱きしめた。
「ちょっと、那月!離してよっ!」
美風さんは嫌がりながらもとても嬉しそうだった。
私はそんな3人をじっと見つめて居た。
「ってか!真城柚子じゃねぇか!うわぁ!やっぱり本物は可愛いなぁ!」
そういって来栖さんは私を覗き込んだ。
「あ…どうも。」
私は軽く会釈をした。
「翔、彼女の事知ってるの?」
美風さんは来栖さんをじっと見つめた。
「おう!デビュー時期同じくらいだしな。七海がこいつのファンでCD借りてから俺も結構好きだったんだぁ!ねぇ!握手してよ!」
そう言って来栖さんは私に手を差し出してきた。
私は思わず嬉しくなり、
笑顔で手を差し出す。
が、
その手は別の人に握られた。
「あ?藍、お前何やってんだよ?」
来栖さんはポカーンとその主を見つめて居た。
「…別に。」
そう。私の手は
何故か美風さんに握られていた。