第2章 初めてのキス。
「わからないんだ。好きって感情が…。」
美風さんはうつむくようにそう言った。
「…それはつまり…恋をしたことないって事ですか?」
私がそう尋ねると、
彼は静かに頷いた。
「僕には感情がない。だから…恋なんて知らない。」
「感情がないって、何冗談言って…」
私がそういい掛けて
彼の顔を見たとき…
驚いた。
真顔だった。
本気で言ってる!?
「…嬉しいとか苦しいとか単純な感情の概念はわかった。でも、好きとか…複雑なのはまだわからないんだ。」
美風さんは溜息をついた。
好きって気持ちの説明…。
言葉にするはすごく難しいなぁ…。
私だってまだ恋なんてまともにした事ないし…。
私が考え込んでいると、
美風さんはしびれを切らしたように
聞いてきた。
「君も恋…したことないの?」
「…いえ…そういうわけでは…。」
私がそういうと、
美風さんは「じゃぁ教えてよ。」と催促してきた。
私は仕方なく、
カバンから携帯ゲーム機を取り出した。
その様子を美風さんは
不思議そうに見つめて居た。