第2章 初めてのキス。
そこからタクシーに乗り、
私は美風藍のスタジオとやらに来た。
小さいけど、いろいろと充実したスタジオだった。
「へぇ!なんか凄いですね!」
私は周りを見渡した。
「うん、適当に座ってて。コーヒーでいい?」
美風さんはコーヒーマシンをいじっていた。
「あ!あの、気にしないでください!」
私がそういうと、美風さんは振り返り、
コーヒーマシンの電源を落とした。
「わかった。」
そう言って美風さんはソファーに腰掛けた。
「ここ、座って。」
美風さんは自分の隣を指差した。
「…は、はい!」
私が隣に座ると、
美風さんは私を押し倒した。
「うひゃ!?あ、あの!?」
「練習はじめるね。」
美風さんのきれいな顔がどんどん近づいてくる。
ど、どうしよう…
このままじゃキスされる!?
「ま、待ってください!こんなのおかしいです!」
私は思いっきり美風さんを突き飛ばした。
「へ!?な、何?僕なんかおかしい事した?」
美風さんは驚いたような顔をした。
「はい!おかしいです!」
私がそういうと、美風さんはいつもの無表情になった。
「何がどうおかしいの?君は練習に同意してここに来たよね?練習してなにが悪いの?」
「キスは練習なんかのためにするもんじゃありません!」
私がそういうと、
美風さんはポカーンとした。
「み、美風さんはどうも思ってないかもしれないですけど…わ、私は好きな人以外とキスなんて嫌です!!」
私がそういうと、美風さんは考え込むように
目を伏せた。
「キスは好きな人以外としないもんなの?」
美風さんは私にそう聞いた。
「はい。」
「…そうか…ねぇ、好きってどんな感じ?」
美風さんは不思議そうに私を見つめた。
「へ?」
その質問に、
思わず頭に『?』が浮かぶ。